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◎ 50肩(肩関節周囲炎)について
①どんな病気ですか?
肩が痛み、腕が上がりにくくなる病気です。軽いものでは動かした時の痛みだけですが、重症になると安静にしていても痛んだり、痛みで夜中に目が覚めたりする場合もあります。自然に良くなる事もありますが、一方で放置していたために、ずっと痛みが残ったり、肩の動きが悪いまま固まってしまったりする場合もあります。
②原因は何ですか?
肩の周りの組織(筋肉や関節包など)は、年齢とともに柔軟性を失い、変性(質が悪くなる)状態になります。結果として、ちょっとしたはずみで炎症を起こし、痛みや可動域制限(肩の動きが悪くなる)が起きてきます。
③治療の方法は? 痛みが非常に強くほとんど動かせない時期(急性期)は、できるだけ安静をとり湿布などで冷やして炎症を鎮めます。強い炎症がおさまり痛みが軽くなってきたら、今度は、肩を温めて積極的に動かす運動療法を開始します。症状によっては肩に炎症を鎮める薬の注射を行う場合もあります。
④最後に
肩関節周囲炎は重症化すると治療が困難となります。50肩だと思っても自己判断
をせずに、早めに整形外科医の診察を受けましょう。
◎ 骨粗鬆症について
①どんな病気ですか?~骨量(骨の中の組織の量)が減って、骨がすかすかになる病気です。進行すると自然に背骨がつぶれて背中が曲がってきたり、簡単に骨折したりします。中高年の女性に多くみられます。
②原因は?~加齢に伴い、女性ホルモンが減ることで、骨の中のカルシウムが減っていくことで起こります。その他に、リウマチや、腎炎などでステロイド剤(1日5㎎以上)を長期間服用されている方も注意が必要です。
③検査は?~骨塩量を調べて診断します。また血液や尿の検査で、骨の吸収されやすさを調べます。
④治療は~食事で摂ったカルシウムが体に吸収されやすくなる薬(ビタミンDなど)や、骨の中のカルシウムが溶けて骨から出て行くのを妨げる薬(ビスフォスフォネートなど)を用います。またカルシトニンという薬を週1回筋肉に注射する事で、骨の吸収による痛みが改善されます。
⑤生活上の注意は?~カルシウムを1日平均600㎎以上(できれば800㎎以上)摂るようにしましょう。また塩分を多く摂ると、尿からカルシウムが出やすくなるので注意が必要です。また骨を守るため軽い運動をして筋肉を落とさないようにすることや、バランスよく食事を摂って、粘り強い丈夫な骨にしていくこともお勧めです。
⑥最後に~骨量は、減りやすいが増えにくく非常にやっかいです。特に女性は70歳をすぎると、かなりの割合で骨粗鬆症になっていきます。早期発見と治療を心がけましょう。
◎ 腰の痛み~変形性腰椎症について
1.どんな病気ですか?~加齢が原因で腰の骨が変形する(とげがでたり、潰れてきたりするなど)の変形を起こす病気です。スポーツや仕事による負担が原因となることもあります。
2.どんな症状がでますか?~腰周辺の痛みが主体ですが、変形に伴い、坐骨神経が障害されると腰から足にかけて、痺れや痛みがでる、足に力が入りにくくなる、感覚が鈍くなるなどの神経症状がでる場合もあります。
3.どういう人に起こるのですか?~中高年の方や、腰にかかる負担が大きいスポーツ、仕事などをされている方に多くみられます。
4.診断法は?~レントゲン撮影にて、骨の変形の有無を確認します。神経症状を伴う場合や、症状がなかなか良くならない場合には、MRIという詳しい画像検査等を行なう場合もあります。
5.治療法は?~急性期(発症して間もない症状の強い時期)にはコルセットなどで固定して安静をとり、飲み薬や湿布などで炎症を鎮めます。急性期を過ぎたら、腰の周りを温める物理療法や、牽引療法、腰痛体操などのリハビリテーションを行ないます。痛みや神経症状が強い場合や難治性の場合には、神経ブロックなどの注射療法を行なう場合もあります。
6.最後に~変形性脊椎症は、根本的には治りませんが、姿勢や動作に注意し、腰痛体操などの習慣をつける事で、症状を起こりにくくする事ができます。思い当たる場合には、なるべく早期に整形外科医の診断と治療を受けるように、心掛けて下さい。
◎ 関節リウマチについて~その2~
1.診断~リウマチというと、血液検査が一般的に知られていますが、それだけでは確実な診断はできません。朝の手のこわばり、関節の腫れなどの関節症状や、内臓症状を含む全身の症状、レントゲン検査での関節の変化の有無など、総合的な診察や検査が必要です。
2.治療~運動療法や物理療法…日常生活ではなるべく寒さを避け温めるようにする事、
また毎日、適度に体を動かしましょう。その際、四肢の関節をしっかり、曲げ伸ばしするようにして下さい。
薬物療法…消炎鎮痛剤(痛みや炎症を抑える薬)、抗リウマチ剤、ステロイド剤、免疫抑制剤などの飲み薬や注射薬があります。いずれも病状を軽くしたり、悪化することを防ぐ作用はありますが、根本的に治す事はできません。近年、リウマチを治してくれる特効薬が出ましたが、副作用等の問題から適応が限られています。
手術療法…①滑膜(かつまく)切除術…関節炎の原因となる滑膜という膝の中の組織を取り除きます。骨の変形が軽く、炎症が主症状の場合に行なわれます②人工関節置換術…変形した関節の軟骨や骨の一部を削り取り、金属などに換える方法です。関節の変形の強い症例に行なわれます。
以上のようにリウマチは早期発見と治療が非常に大事ですので、疑わしい場合には早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
◎ 関節リウマチについて~その1~
1.どういう病気ですか?
「リウマチ」という単語はギリシャ語の「リューマ」という言葉に由来します。これは「流れる」という意味で、当時は悪い液体が脳から関節などに流れて痛みを起こすと考えられていたそうです。現在のリウマチは筋肉や関節、骨、靭帯などの運動器の痛みとこわばりをおこす病気を総称しています。20歳から50歳の女性に、多くみられ自己免疫疾患(自分の体に入ってくる異物を排除する仕組み《免疫》が、自分の体の組織を攻撃する病気)のひとつです。
2.症状は?
① 手足や肘、膝などが腫れて痛みます。ひどくなると水がたまったり、変形をおこします。さらに進行すると関節がぐらぐらになったり、固まって動かなくなったりする事もあります。
② 手足の筋や腱(すじの事)が固くなり、しっかり曲げ伸ばしできなくなります。重症の場合、自然に腱が切れて指が動かなくなることもあります。
③ 発熱、貧血、神経症状(神経痛やしびれ)等が起こることがあります。
④ リウマチの症状は暖かい日や日中には軽くなり、寒い日は逆に悪化しやすいです。
Q 風邪をひいて寝込んだあと、右肩が痛くなり、なかなか治りません。治療しなくても自然に治るものでしょうか。(47歳・男性)
A 風邪をひくと体のあちこちの関節が痛くなったり、力が入りにくくなるといったことがあります。多くは風邪の際の発熱によるものですが、なかには風邪が治り、熱が出なくなった後も関節の痛みだけが残ってしまうことがあります。何日も寝込んでしまうような風邪であれば、体を動かさないでいたことによる一時的な関節痛のこともありますが、まれにウイルス性関節炎を起こすことも考えられます。この場合には安静や治療が必要となります。
今回のケースの場合、47歳という年齢を考えると使わなかった肩を使いだしたために、四十肩を併発している可能性もあり、専門医の受診をおすすめします。
◎ 骨折をした時の応急手当について
【骨折したかどうかの判断】
ケガをした時は患部の状態をよく観察してください。①動かすと痛みが強い。②腫れや内出血が強い。③外見上変形がある。この場合、骨折を疑います。前記症状に加え皮膚に傷を伴っている場合(開放骨折)は、受傷後8時間以内に適切な処置をしないと、重大な後遺症(骨髄炎=骨の感染症で、難治性になりやすい)を引き起こすことがあります。またケガをした後放置し、1~2週間経過しても痛みや腫れが引かない場合も骨折の可能性があります。
骨折の判断にはレントゲン検査が必要です。整形外科での、専門的な診断および治療を受けてください。
【応急処置の方法】
整形外科を受診するまで、必要な応急処置を述べます。①冷却/氷やアイスノンをタオルでくるみ、ケガをした部位に当てて冷やします。痛みを軽くし、内出血を防ぐためです。②安静(=固定)/患部を副木、包帯、三角巾、タオルなどで固定し動かないようにし安静を保ちます。副木がない場合はダンボールや雑誌を代用しても良いです。③挙上/ケガをした部位を心臓より高くして内出血を防ぎます。手のケガでは、肘が直角より少し上になるように曲げ、三角巾等で首からつります。
◎ 腰椎椎間板ヘルニアの診断と治療
①どんな病気ですか?
背骨の間にある椎間板というクッションが、つぶれて後ろに出っ張る病気です。そばにある神経が刺激されたり圧迫されたりするために、腰から下肢にかけて痛みがでます。時には触った感覚が鈍くなったり、しびれたりする事もあります。
②検査はどうするの?
触診で痛みや神経症状などをみます。画像検査では単純レントゲン検査で背骨の形や位置関係を見ます。MRIという検査を行なうと、直接、ヘルニアが出っ張っている様子や、神経が圧迫されているのがわかります。
③生活で注意することは?
重いものを持つ、中腰になる、同じ姿勢で長時間すごす、など腰にかかる負担が大きい姿勢や運動はなるべく避けましょう。毎日、腰や臀部、膝の裏のストレッチ(筋肉を伸ばす)や腹筋・背筋を鍛える運動を行うとよいです。
④病院での治療は?
飲み薬や貼り薬で、痛みを鎮め神経の炎症を抑えます。また温熱治療や、牽引治療(腰をひっぱる)なども行われます。多くのヘルニアは手術をしなくても症状が治まります。
⑤手術はどうするの?
一般的には腰の後ろを切ってヘルニアを取り出す手術がおこなわれますが、内視鏡やレーザーを使う場合もあります。
⑥最後に
椎間板ヘルニアは早期に発見して治療するのが肝要です。疑わしい時はなるべく早く整形外科医の診察を受けましょう。
Q 慢性リウマチの自覚症状はどのようなものですか?
A 主に関節痛、関節の腫れ、朝方の両手のこわばり、多発性といった症状があげられます。男女の別なく、年齢もあまり関係ありません。たしかに年齢があがれば患者さんも増えてきますが、20代の方でもかかる人はいます。血液検査をするとはっきりとわかりるのも特徴のひとつです。治療法ですが、非ステロイド剤、抗リウマチ剤などを使った薬物療法、外科療法(手術)、電気治療法を中心とした鎮痛消炎処置になります。ステロイド剤や免疫抑制剤も症状をみながら使用する場合もあります。現在では、早期の慢性リウマチは完治する可能性が非常に高くなっています。
少しでもおかしいと思ったら一度整形外科の先生にみてもらうことをおすすめします。
◎ 骨折・捻挫・脱臼について その1
【骨折について】
骨が何らかの原因(外傷等)によって、その連続性が断たれた場合をいいます。ヒビが入ったとか、骨がずれているというのも骨折のことを示します。
【骨折の症状】
①打撲や捻挫にくらべ、腫れや内出血が強くその出現も早い②動かさない状態での痛みが強い③外見上変形を生ずることがある、などです。剥離骨折や骨折部のずれが少ない時には、前記症状がない場合もあります。また骨が癌や骨粗鬆症などの病気で弱くなり、
少しの力で折れることもあります。骨折にもさまざまな折れ方があり、その折れ方により治療方法が異なります。正しい診断と正しい治療の為には、レントゲン検査が大切です。
またレントゲン検査は、骨癒合の進み具合、日常生活のすごし方、治療中のスポーツの可否等を判断する為にも必要です。
【骨折の治療の原則】
整復(骨折のずれを戻すこと)を行い、固定(ギプス等)をして、その後リハピリテーションをします。
受傷直後に①骨折部より末梢の色が、白色や紫色になるような血行障害がある②しびれて感覚がにぶくなるような神経障害がある場合は、緊急で手術等の治療が必要になることもあります。
このように骨折といえども軽く見ると大変危険です。骨折を疑ったらまずは専門医を受診
することをお勧めします。
Q 頚椎椎間板ヘルニアは、牽引や電気などのリハビリで完治しますか?
A 頚椎椎間板(ついかんばん)というのは首の骨と骨の間にあるクッションの事です。過度の負担や、けが、加齢により、椎間板は傷んでつぶれていきますが、その際に一部が出っ張ってきたものをヘルニアといいます。出っ張った部分が、すぐそばを走っている神経を圧迫すると、手足に痺れや痛みがでたり、力が入りづらくなったりします。
さて、椎間板ヘルニアが完治するかとのご質問ですが、一度傷んだ椎間板の本体は、いかなる治療法を行なっても完治する事はありません。ただし、出っ張った部分が徐々に溶けて無くなる場合はありますし、ヘルニアがあっても全く無症状の方も大勢います。
牽引や電気などの治療法は、ヘルニアそのものを治す事はできませんが、現在の症状を鎮めることで、治ったのと似たような状態に持っていける場合もあるので、根気よく続ける事が大事です。
また、普段の生活でも注意が必要です。パソコンや書き物、手芸などに熱中して長時間にわたって同じ姿勢をとると首に余計な負担がかかり、症状が再発したり悪化したりする場合がありますのでご注意ください。
Q これから、健康のためにジョギングを始めようと思います。注意点などを教えてください。
A これからの季節はジョギングに限らず、運動をするには最適の季節です。まずジョギングを何のためにやるのか目的をはっきりさせることが大切です。“運動をすることはよいこと”と思っている人が多いのですが、全て健康によいわけではなく、アスファルトなどの硬いところを走ればヒザや足首を痛める人もいます。運動する良さとそれによって起こるさまざまな故障とのバランスを考えて運動を始めてほしいのです。人間の体が消耗品である以上、鍛えられる部分とそうでない部分は常についてまわるものです。そこで故障を起こしたときに早期にスポーツ外来へ行かれて運動の良さを得ながらどうやって故障を治していくか指導してもらうのがよいのではないでしょうか。
◎ 外反母趾(がいはんぼし)について
【外反母趾とは】
外反母趾とは足の第1趾(親ゆび)が外側(第2趾側)へ「く」の字に曲がる変形のことです。変形以外に「く」の字の角の部分=親ゆびのつけ根の関節(MTP関節といいます)の内側部が赤く腫れ、靴を履くと当たって痛みます。足の裏の第二、第三趾の付け根にも「たこ」ができて痛むことがあります。
【原因は】
外反母趾は戦前の日本には極希の物とされていました。鼻緒のある下駄や草履が外反母趾の発生を予防していたようです。戦後、大多数の人々が何時も靴を履くようになり、外反母趾の数も急増してきました。女性には男性に比べ十倍以上多く、ハイヒールを始めとした靴が原因の多くを占めるようです。しかし、一生涯、靴を履かない様な地域でもわずかの発生頻度で外反母趾が見られることから、先天的な病因もあるようです。従って、外反母趾になりやすい素因を持った女性が、ハイヒールなどの靴の障害により外反母趾になると考えられます。
【予防方法と治療方法】
外反母趾にならないようにするには、ハイヒールの類の靴は履かないようにすることが基本です。どうしても仕事でハイヒールを履く必要のある人は、通勤時はスニーカーを履くなどの工夫が大事です。
すでに外反母趾になっている人の場合、軽い外反母趾の場合には、外反母趾を矯正する装具(主に夜間に装着)やテーピング療法、ゴムひもを利用した両母趾の体操、タコが靴で擦れないようにするパッドをあてるなど、いろいろなケアをします。しかし、特に高度な変形の外反母趾の場合には、もとの真っ直ぐな母趾に治すため、手術による方法を選択します。
Q 肩こりからくるものなのか、腕がしびれるように痛みます。リウマチの検査をした方がいいのでしょうか?
A 腕にしびれるような痛みがある場合に、通常考えられるのは、頚椎(けいつい…首の骨)での神経障害です。頚椎には脳からつながる脊髄神経や、脊髄神経から腕にいく神経が通るトンネルがあります。首の骨がずれたり、変形したりした場合や、首の骨と骨の間にあるクッション(椎間板…ついかんばん)が、つぶれてはみ出したりすると、それらの神経を刺激して、腕の痛みを起こします。症状が悪化すると、腕に力が入らなくなったり、手先の感覚が鈍くなったりする場合もあります。
首をいろいろな方向に動かした時に、しびれるような痛みが強くなれば、可能性はかなり高くなります。病院では神経症状を調べるとともに、レントゲン検査で骨の形や位置関係を見て、診断をつけます。症状が重い場合や、診察での所見がはっきりしない場合はMRI(体の断面図が見られる検査)を行う事もあります。治療は、温熱療法や電気治療、内服薬、注射などを行ないます。なおリウマチを心配されていますが、通常、こういう症状はみられないので、まず大丈夫かと思います(ただし、進行したリウマチで、頚椎に変形が起きている場合は別ですが)。
Q 父が階段から落ちて骨折。75歳と年なので、なかなか骨がつかないようで心配です。
A 女性に比べて男性の場合は、骨粗鬆である確率は少ないのですが、75歳という年齢を考えると、単純に、ギブスをして治るのを待っているだけではなく、タイミングをみはからって、湿布をしたり電気治療、塗り薬など、積極的に骨をつなげるための治療をしていく必要があります。大事にして骨折部をかばうような生活を送りがちですが、大事にすればよいというわけでもありません。ギブスから装具に切り変われば、関節などを動かせるようになり骨に刺激を与えて鍛えることができます。無理強いは禁物ですが、長い間ギブスをしていて、骨が廃用性萎縮を起こしてしまうと治りにくくなるので、随時マッサージや電気治療なども併用して治療をすすめていけばよいでしょう。
◎ ジャンパー膝について
【ジャンパー膝とは】
ひざのお皿の骨の下端と、すぐ下の腱のつなぎ目あたりが炎症を起こして、痛みが生じます。膝蓋靭帯炎ともいいます。バレーボール、バスケットボール、走り幅跳び等の跳んだりする動作や、マラソンなど長距離を走るスポーツを繰返し行った結果起こります。
【症状は】
運動した後にひざのお皿の下に痛みを感じます。軽い場合は少しの休憩でおさまり、日常生活動作では痛みはあまり生じませんが、重症の場合は常に痛みを感じたり、痛みのために運動を続けることが出来なくなります。
【診断と治療】
運動歴と疼痛部位の診察で診断が可能です。治療は基本的に疼痛部の安静になります。ジャンプやランニングなど膝に負担のかかる運動を控えます。運動の継続を希望する場合や安静でも症状が軽減しない場合は、外来で痛い部位にレーザーを照射します。またテーピングやサポーター等も使用する場合もあります。これらの治療で通常ほぼ100%の方が治りますが、まれに痛みがひどく早期のスポーツ復帰を望む方は、腱の付け根の炎症の強い部分を取り除く手術をすることがあります。
【予防には】
運動をする場合は、事前に大腿四頭筋(ふとももの前面の筋肉)のストレッチをしたり、十分にウォーミングアップをしてから始めてください。
◎ 膝半月板損傷について
1.どんな外傷ですか?
膝にある半月板というクッションが裂け、ずれたりひっかかったりして炎症を起こし痛む疾患です。
2.原因は何ですか?
若い人は膝の捻挫やスポーツなどでの酷使が原因となります。中高年の方では、半月板の質が劣化して自然に裂けて来る場合(変性断裂、古いゴムがひび割れるようなもの)もあります。
3.症状は何ですか?
歩いたり走ったりした時などに、膝に痛みやひっかかるような感じが出ます。悪化すると水がたまったり、半月板の破片が膝に挟まってしまいしっかり曲げ伸ばしできなくなったりもします。
4.検査はどうしますか?
けがをした時の状況や症状を聞き、触診で膝のひっかかりや痛みを調べます。またMRIという画像検査で切れている部分を確認します。
5.治療はどうしますか?
①保存的療法…大腿の周りの筋肉を鍛える運動を行ない、膝を安定させます。痛みや炎症が強ければ、内服薬(消炎鎮痛剤)や湿布、膝の注射などで炎症を鎮めます。
②手術療法…内視鏡を使って膝の中を見ながら、切れている部分を削ったり、縫い合わせたりします。
6.最後に
切れた半月板を放置していると、裂け目が広がったり軟骨まで傷ついたりする事があります。思い当たる場合には早めに整形外科医の診察を受けましょう。
Q 足をくじいてはれてきたので、受診したら「剥離骨折」といわれました。これはどのようなけがなのでしょうか。また治るのにどのくらいかかりますか?
A 足関節の捻挫の一種と考えてください。足関節の外側には、靱帯が3本あるのですが、足くびをひねった時に靱帯がしっかりと足関節を固定しようとして付着している骨に強い力が加わり、靱帯がやられずに骨がはがれてしまうことです。普通のX-P(レントゲン)では見つけにくい所が、剥離骨折の好発部位なので、当院では、軸射撮影という特殊なX-Pを施行し、見落としのないよう努力しています。いままで単純な捻挫と処理されてきたものの多くに剥離骨折があり、そのためクセになってしまっている場合も多くあります。治療期間としては、きちんと加療して4週間~6週間です。
◎ アキレス腱断裂・肉離れについて
運動不足の人が急に運動をすることで多く見られる怪我に、肉離れやアキレス腱の断裂があります。これらの怪我の診かたと応急処置についてお話します。
【アキレス腱断裂】
ジャンプ・ダッシュなどの動作によってアキレス腱に強い力が加わると起こります。断裂の瞬間に「後から蹴られた」「ボールが当たった」ように感じます。つま先立ちが不可能になり歩行不能となります。痛くないこともあります。踵の4~5センチ上に、断裂部の凹みを触れます。
(応急処置)すぐにうつ伏せに寝かせ、足の甲を床面につけるようにして足先を伸ばしてください。足先の位置はそのままで副木(雑誌や木の枝等で代用してください)で太ももから足先まで固定してください。その後、医療機関を受診してください。
【肉離れ】
乱暴な動きや突然の動作によって筋肉が過度に伸展され裂ける事によって起こります。主に太ももの裏側(ハムストリングス筋)太ももの前面(大腿四頭筋)、ふくらはぎ(腓腹筋)に起こります。患部に圧痛や歩行時痛があります。損傷の程度が強いと、患部に凹みを触れたり、歩行困難になることがあります。
(応急処置)患部にタオルなどをあて氷や水で冷やし、その後患部を包帯等で固定してください。歩行が困難な場合は、専門的な治療が必要になりますので、医療機関を受診してください。
◎ 化膿性関節炎について
■どんな病気ですか? 肘や膝、股関節などの関節部が、化膿して赤く腫れたり膿が出たりする病気です。
■原因は何ですか? 細菌が血流に乗って関節内に入ることで発症します。その他に、糖尿病の存在や、副腎皮質ステロイド薬などを内服している場合なども発症しやすくなります。
■どんな症状がおきますか? 関節に膿がたまり、熱を持って腫れてきます。時には全身の発熱や、軟骨や骨に感染が及ぶ場合もあります。(乳幼
児の場合は、関節軟骨が柔らかいために、治療後に骨や関節の成長障害を起こす事もあります)。
■検査や診断法は? 問診や触診の他に、血液検査で、白血球の数の増加や、炎症反応の変化をみます。また、関節内に貯まった関節液を採取して、菌を見つけます。
その他、単純レントゲンやMRIなどの検査を行う場合もあります。
■治療法は? 局所の安静をとり、内服や点滴注射で抗生物質の全身投与を行います。また注射で関節の中の膿を排出したり、洗ったりします。十分な効果が得られない場合や緊急を要する場合には手術が行われます。
■後遺症はありますか? 関節に変形や痛みが残ったり動きが悪くなったりする場合もあります。
■最後に 化膿性関節炎は、現在でも治療が難しい病気のひとつです。早期の診断が重要なので、なるべく早く整形外科医の診察を受けるようにしましょう。
Q 筋肉痛になったときにマッサージをするタイミングを教えてください。
A 一般の方が筋肉痛になったときのマッサージのタイミングをとることはなかなか難しいものがあります。“筋肉痛だな”と感じる部位に触れてみて、熱をもっていたり、腫れを感じるときは冷やして安静にしましょう。その症状が落ち着いてきて、お風呂に入ったときに心地良く感じたら、あたためてマッサージをします。
ストレッチをして違和感がなくなり次第、運動を再開してもだいじょうぶです。
これからのシーズン、スポーツをするときは適度な休憩、水分補給も忘れずに行ってください。ケガ、故障のないよう、運動をする前には入念な準備運動をして体をほぐしておくことも大切なことです。
◎ オスグッド病について
【オスグッド病】
(サッカー・バスケット・バレーボール・陸上など)
オスグッド病は、主に成長期の小中学生に起こる膝のスポーツ障害です。
ボールを蹴る・走る・ジャンプするなどの動作は大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)を酷使し、脛骨粗面(お皿=膝蓋骨下方の骨の出っ張り)に過大な負担をかけます。脛骨粗面は、小中学生の時には成長軟骨のため酷使に弱く、痛みを生じます。また骨(身長)の伸びる時期なので大腿四頭筋の成長が追いつかず、相対的に大腿四頭筋の緊張が強くなり脛骨粗面の軟骨に過剰な力がかかるのもこの病気の原因です。
軽いうちは運動後の膝の痛みですが、重症になると日常生活でも痛みが生じます。
予防は、大腿前面のストレッチングが有効です。
治療は、症状が軽いうちは①スポーツの休止②ストレッチング③テーピングで良いですが、痛みが治まらないときには、整形外科にて物理療法と理学療法を実施すると効果的です。主に温熱療法、レーザー療法と大腿四頭筋のストレッチングの組み合わせで治ります。 オスグッド病は、骨の成長が止まる成人になればほぼ症状がなくなります。しかし、なかには脛骨粗面が遊離骨片になったり、大きく隆起して成人になっても時々症状が出現することがあります。
◎ この話ホントに本当? 整形外科編
体の調子が悪いと言ったときに、まわりから聞かされる話。はたして本当なのかどうか? 今回はその真偽についてお話します。
1.「膝の水を抜くと癖になるから抜かないほうがいい」~一般の方だけではなく、医療類似行為業者の一部にもそういう事を言う人がいますが、医学的にはまったくの誤りです。一度水を抜いただけで良くなった人も大勢います。もちろん、何回抜いても繰り返したまる場合もありますが、これは水を「抜いたから」たまったのではなくて、水を「抜いても」またたまってしまうくらい関節炎が強いという事なのです。
膝にたまった水の中には有害物質が含まれている事もあり、水を抜くとそれらが排出されます。ただし水の量が少量なら抜く必要がない場合もあるので医師の指示に従ってください。
2.「四十肩(五十肩)は、時間がたてば治る」~これは一概に誤りとも言えません。四十肩は肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)といって、肩のまわりの筋肉が炎症を起こし、痛くて動きにくくなる病気で、放置しても自然に治る場合があります。ただし、一方で、ずっと放置したために筋肉が固まり、腕が上がらなくなってしまう場合や、実は四十肩でなく、頚椎変形性脊椎症(首の骨が変形する病気)による神経障害が原因だったりする場合もあります。
長引く場合は自己判断せず、整形外科にいってきちんとした診断を受けるようにしましょう。
Q スポーツをしていてじん帯を傷めてしまいました。注意点やケアについて教えてください。
A じん帯損傷は、再発させないためにどうするかが重要です。損傷してすぐの固定方法など、初期治療が大切で、理学療法や外用薬を組み合わせて治療していきます。
よく、骨折していないと安心する方がいますが、じん帯の損傷を軽視してはいけません。骨折はレントゲンで判断できますが、じん帯の場合は見るすべがありません。また、再生能力が強い骨と違い、じん帯は脳と同じようにそれが低い点も軽視できない理由です。
また、本格的にスポーツを続けるのか、そうでないのかによっても固定の方法やサポーターの種類を変えるなど、治療法も変わってきます。じん帯損傷をクセにしてしまう例もあるので、医者とよく相談できるようにしておくことが大切です。
◎ 膝前十字靭帯損傷について
【前十字靱帯とは】
膝の内部にある靱帯で、主に膝が前後に過度に動くのを防ぐ役割をします。スキー・サッカー・バスケットなどのスポーツで損傷しやすい靭帯です。
【どのような症状ですか】
この靭帯が、損傷すると腫れや痛みのために膝を曲げることが困難になります。損傷の程度により、靭帯が伸びたり一部分傷んだりする部分断裂と完全断裂にわけられます。内側半月や内側側副靭帯損傷を伴うことが多く、その場合には治療に難渋します。
また慢性期には、歩行時に膝崩れをよく引き起こします。
【受傷直後の注意点】
早めの処置が大事です。方法は安静・冷却・圧迫・挙上によるRICE療法をしてください。移動の際には膝を包帯や副木で固定し、その後専門医を受診し診断、治療を受けてください。
【治療方法】
部分断裂の場合は、急性期は冷却療法を、慢性期には温熱療法および筋力訓練で治療します。前十字靭帯は、内側側副靭帯と比べて再生しにくい靭帯です。そのため完全断裂の場合で、スポーツ競技の継続を希望する場合は、手術で靭帯を作り直す方法(靭帯再建術)を選択します。靭帯再建術はここ10年位の間に最も進歩した手術方法で、勧められる手術の一つです。
【スポーツ復帰は】
日常生活やレクリエーションレベルのスポーツは受傷後の適切なリハビリで可能になります。
◎ 変形性膝関節症について
1)どんな病気ですか?
膝の軟骨(骨の表面でクッションの働きをしている)が傷ついたりすり減ったりすることにより関節炎を起こす病気です。歩行、膝の曲げ伸ばしなどで、膝の周辺が痛みます。また膝
に水が溜まって腫れたり、膝の曲げ伸ばしがしっかりできなくなる場合もあります。
2)どういう人にみられますか?
中高年の女性に多いです。また、膝に負担のかかる仕事や運動をしている人、O脚など膝の形が悪い人にもみられます。
3)検査は?
医師が触診で、膝の動きや腫れ、痛みを調べ、レントゲン検査で膝の骨の変形を確認します。
4)普段の生活で注意は?
膝の周りの靱帯や筋肉が固くなるとますます悪化するので、膝を柔らかくする運動(膝の力を十分抜いて、少し痛むくらいまでしっかりと曲げ伸ばしする)はこまめに行いましょう。また膝の周りの筋肉を鍛える運動も大事です。椅子に座りゆっくりと膝の曲げ伸ばしを行います。回数は10回程度から始めて徐々に増やして下さい。痛みを我慢して歩くと、症状が悪化するので、少し座って休んでください。
5) 病院での治療法は?
機械を使った温熱療法、膝の動きをよくしたり筋肉をつけるリハビリテーション、膝の中にヒアルロン酸という薬を注入する注射療法、内服薬や湿布による薬物治療があります。これらの治療が無効な場合には、手術が行われる場合もあります。
Q 最近背中が曲がってきました。骨粗しょう症などが心配です。
A まずはレントゲンを撮って検査することが大切です。
また、女性の場合は閉経後のホルモンバランスの関係で、骨粗しょう症になりやすく、より注意を払うことが必要です。
骨粗しょう症になるとちょっとしたことで骨折してしまい、また骨がつきにくく動けなくなってしまうことがあります。そのことで寝たきりにつながる恐れもあります。そこで骨粗しょうをうまく管理し、そのような弊害を防ぐことが大切です。そのためには日光浴と適度な運動が必要です。日光浴はカルシウム吸収をよくするビタミンDを活性化する意味があります。運動はいろいろな方法があるので専門医に相談されるとよいと思います。
◎ 膝内側 側副靭帯損傷について
【内側側副靱帯とは】
膝の内側にある靱帯でスキー・サッカー・バスケットなどのスポーツで膝がむりやり外反(外側に捻られること)されると、この靱帯が損傷します。
【どのような症状ですか】
痛みや腫れのために膝を曲げたり、歩くことが困難になります。膝の内側に内出血が見られます。損傷の程度により、1度…靭帯の繊維が伸張したり一部分断裂したもの、2度…広範囲にわたって損傷したもの、3度…完全断裂に加えて、内側半月や前十字靱帯の損傷を伴うこともある場合、に分けられます。
【受傷直後の注意点】
早めの処置が大事です。特にスポーツ現場での受傷初期の対応がその後の治療に影
響します。不幸にも膝を捻ってしまい、前記のような症状がある場合は、RICE療法をしてください。(詳しくは行徳新聞3月14日号に掲載しています)移動の際には膝を包帯や副木で固定し、その後専門医を受診し診断、治療を受けてください。
【治療方法】
内側側副靭帯は再生しやすい靭帯ですので、手術をしなくてもよく治ります。一定期間は膝の固定が必要で損傷の程度によりギプス固定か膝装具かを選択します。急性期は冷却療法を、慢性期には温熱療法および筋力訓練をします。
【スポーツ復帰は】
日常生活が何とかこなせるのは受傷6週後、リハビリの後スポーツに完全に復帰できるのは受傷3~6カ月後になる場合が多いです。
Q 手や腕にしびれがおきる
A 手にしびれがおきた時、みなさんは何の病気を心配されますか?多くの方は、まず脳の病気を心配されますが、実は整形外科の病気のことが多いのです。今回はそれらの病気についてお話します。
1)頚椎症や頸椎椎間板ヘルニア
腕に行く神経が首の骨からの出口のところで、骨や椎間板のでっぱり(ヘルニア)に触れて炎症を起こす病気です。治療は①普段の生活で長時間同じ姿勢をとるなど首に負担をかけないようにすること②飲み薬③物理療法(温熱・低周波・牽引〔首を引っ張る〕療法など)、があります。
2)胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群
神経が腕に行く途中で骨や筋肉、靭帯などに圧迫されて起きるものです。治療は①肩の周りの筋力トレーニング②飲み薬③物理療法があります。
3)肘部管(ちゅうぶかん)症候群、手根管(しゅこんかん)症候群
肘や手首で神経がしめつけられておきる病気です。治療は①原因となっている部位の安静をとる②投薬③温熱療法などです。
4)末梢(まっしょう)神経炎
腕や手の神経そのものの障害によって、しびれがおきる病気です。糖尿病などから起きる場合以外に、原因がよくわからないものもあります。治療は①飲み薬②物理療法があります。
Q 腰が痛くてレントゲンをとると変形があり、一生なおらないともいわれました。腰痛は一生続くのでしょうか。
A 変形はいろいろな原因によって起こり一生残っていきますが、痛みをおさえるのは可能なので腰痛が一生続くわけではありません。しかし痛みがなくなるイコール病気が治るということではありません。変形そのものは残っていきますので、今、その痛みが治まってもこれからの痛みの原因になる可能性を残しています。その点を理解して腰痛とうまくつきあっていかなくてはなりません。ご質問の方のように、変形があり一生その変形が残ることは決して怖いことではありません。それよりも変形があることを知らずにいることの方が怖いのです。腰痛に限らず、痛みの原因がわかれば対応は可能です。今後の治療について、整形外科の先生にご相談されることをおすすめします。
◎ 膝半月損傷について
【膝の構造】
膝の半月は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)との関節の内側と外側にある縁取りのようなもので、主に関節のクッションの働きをします。その形が三日月状のため半月と呼ばれています。
【どうして損傷するのか】
膝を捻る時や、強く踏み込む際に、半月に過度の負担がかかり傷みます。また靭帯を傷め膝の動きが正常でなくなると、半月に異常なストレスがかかり傷みます。
【どのような症状か】
①急性期:膝の腫れ・痛み、②慢性期:①を放置し、適切な治療をしない場合に起こります。
歩行時の痛み、膝がガクッとする(膝くずれ)、慢性的な腫れなどです。傷んだ半月がはさまって膝が伸びにくくなる(ロッキング)こともあります。
【診断方法は】
ケガのときの状況と、膝の診察で診断ができます。損傷の程度は、半月が炎症を起こした軽い程度(Ⅰ度)から完全に断裂したもの(Ⅲ度)まであり、MRIで判断します。
【治療方法は】
軽度のものなら、温熱療法やレーザー治療でほぼ完治します。中~重等度でも断裂の形態によってはレーザー治療が有効なことがあります。これらの治療で効果がない場合は、手術で治療します。現在は関節鏡手術(膝の内視鏡)が主流で、小さいキズで治療が可能です。
放置すると、軽度なものが悪化したり、膝の関節の表面を覆う関節軟骨を傷め、変形性関節症(膝が変形し慢性的な痛みを伴います)になる可能性が高くなります。