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小児科


 

Q 8カ月の男児ですが、夜泣きがひどく困っています。
A 夜泣きとは夜間に乳幼児が泣くことを繰り返し、本人も保護者も生活が妨げられている状態で、生後6~9カ月の乳児に最も多くみられます。「夜間に泣くこと」の多くは乳幼児にとって生理的な現象ですが、身体的原因や心理的、生活習慣的要因によって起こっている場合もあります。これらの原因があるときには、それを取り除くことが治療の第一歩となります。身体的原因として、空腹、環境温度、鼻閉、中耳炎による耳痛、下痢や便秘による腹痛、蟯虫症やアトピー性皮膚炎によるかゆみなどはないかを探してやります。心理的、生活習慣的要因としては、昼夜の取り違えはないか。昼寝が長すぎたり、遅すぎたりすると夜間に起きだしてしまいます。また、昼間の異常な興奮、大きな音などの刺激、強く叱られたようなできごと、運動不足や過保護も原因となります。原因がある場合には、これに対応することで良くなります。しかし、それでもなお続く原因不明の夜泣きも実際には多く存在します。昔から夜泣きに関するまじないや言いつたえが多く残っており、夜泣きは昔から親の悩みの種だったようです。子育て真最中のご両親にとって夜泣きは永遠に続くのではないかと思うほどつらいできごとだと思いますが、あとから振り返ってみれば笑いごとになってしまうことが多いものです。時間が経てば必ず良くなりますので、希望を持って育児を楽しんでください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090327号)


 

◎ 増加しつつあるアレルギー性疾患①
春先や梅雨時など季節の変わりめになりますと喘息発作を起こすお子さんが増えてきます。
 このような小児喘息のお子さんの数はほかのアレルギー性疾患(花粉症やアトピー性皮膚炎)と同様、近年増加傾向にあるのは困ったことで、一部では社会問題化しています。十数年前までは小児喘息の患児は15歳以下の小児の0・7~0・8%を占めるに過ぎなかったのが現在ではある統計では3~4%とされていますから、学校の1クラスに1~2人は喘息児がいるという計算になります。
なぜ、このようにアレルギー性疾患は増えてきているのでしょうか。
 スギ花粉症ではスギ花粉とともに自動車のディーゼルエンジンから出る微粒子が影響を与えていることが報告されています。小児喘息でも大気の汚れや、住環境の改善に伴う家ダニの増加が大きな影響を与えていると思われ、喘息は文明病のひとつであるといっても過言ではないでしょう。子どもさんがアトピー体質であったり、風邪をひくとゼイゼイしたりするようなことがあれば早めに専門医にかかられることをお勧めします。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20090320号)


 

Q 気管支喘息について教えてください。③
A 治療とは、喘息の起こるメカニズムに対応することです。つまり、気管支を広げ、痰の排出を良くする、アレルギーを起こしにくくする、過敏な気管支に影響を与えるものを極力排除する、気道の炎症を抑える、などです。
 具体的にはβ刺激剤やキサンチン製剤(テオドールなど)という気管支拡張薬や去痰剤を吸入したり服用したりします。さらに重症の場合にはステロイド剤の静注、点滴、酸素吸入を行うこともあります。これで、そのたびごとの発作は抑えることができます。
 しかし、これだけでは不十分です。喘息は慢性の病気であり、長期の治療計画も必要です。起きた発作を止める治療ではなく発作を起こし難くする治療です。抗アレルギー薬やβ刺激剤、キサンチン製剤を中心に、重症度に応じて治療の濃密度を変えていきます。また、喘息は慢性の気道の炎症という観点から成人では最も炎症を抑える力が強い吸入ステロイド剤の持続使用も行っています。
 これ以外にもアレルゲンの除去、自律神経鍛錬、心肺機能の強化など薬物以外の治療も必要です。これらの治療を行うことで喘息はほぼコントロールできます。そして60~70%の患者さんは思春期までに発作が起きなくなります。
 このゴールを目指して治療を行うわけですが、もちろん、患者さん、そのご家族、医師の一致協力が不可欠なのはいうまでもありません。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090313号)


 

Q 気管支喘息について教えてください。②
A 気管支でおきたアレルギーを気管支喘息といいます。症状からみると「ゼーゼー、ヒューヒューし、息を吐くときにつらい状態を繰り返す病気」になります。発作が起きると気管支をとりまく筋肉が収縮し、粘膜が腫れて、気管支の内径が狭くなります。また腫れた粘膜から大量の痰が分泌され、さらに空気の通過を悪くします。これがいわゆる喘息発作です。では発作が起きていないときはどうなっているのでしょうか。そのときでも一回に吐く空気の量が少ないことが多いのです。つまり、外見は全く普通に見えても気管支では、発作のときと同じことが起こっているのです。また、最近では喘息は慢性の気道の炎症と考えられています。例えると「アレルギーによる軽いやけどがずっと続いている状態」といってもよいかもしれません。軽くてもやけどがずっと続いていれば気管支はどんどん壊れていきます。このため成人では気管支喘息は気管支拡張症や肺気腫という肺や気管支の構造が壊れる病気の原因の一つと考えられています。子どもではここまでひどい気管支の障害が起こるかどうかは分かっていませんが、「慢性の気道の炎症」が起きているという点では同じです。これにより気管支は過敏になり、アレルゲン以外の気圧変化や汚染された空気などわずかな刺激にも反応し発作を起こすのでしょう。以上が喘息に対する考え方です。これをもとに治療をどうするか考えなければなりません。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090220号)


 

Q 気管支喘息について教えてください。①
A 人間は細菌やウイルスだらけの環境の中で生活していますが、体の中にそれらが侵入してきたときに、異物と認識して攻撃、排除しようとする能力があります。これを免疫能といい、生きていくうえで非常に大切なものですが、時に過剰に反応して人体にとって不利益に働くことがあります。これがアレルギーです。さてアレルギーの体質があるとみんな喘息などの病気になるのでしょうか。実際の症状との関係についてみてみると、アレルギーの体質があっても何の症状もない人、花粉症だけの人、アレルギー性鼻炎と気管支喘息の両方がある人などさまざまです。一般的には年齢とともに症状が変わっていくことが多く、赤ちゃんのときにアトピー性皮膚炎、幼児期になって皮膚はきれいになってくるのですが気管支喘息を、学童期以後にアレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、花粉症などを発症してきます。症状が行進するように変化するため、このことをアレルギーマーチと呼んでいます。またアレルギーの体質はある程度遺伝しますが、実際にそれぞれの病気になるには環境の影
響も大と考えられています。
 このように気管支喘息はアレルギーそのものやアレルギーによる他の病気との密接な関係のうえに成り立っているのです。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090213号)


 

Q 気管支喘息について教えてください。③
治療とは、喘息の起こるメカニズムに対応することです。つまり、気管支を広げ、痰の排出を良くする、アレルギーを起こしにくくする、過敏な気管支に影響を与えるものを極力排除する、気道の炎症を抑える、などです。
具体的にはβ刺激剤やキサンチン製剤(テオドールなど)という気管支拡張薬や去痰剤を吸入したり服用したりします。さらに重症の場合にはステロイド剤の静注、点滴、酸素吸入を行うこともあります。これで、そのたびごとの発作は抑えることができます。
しかし、これだけでは不十分です。喘息は慢性の病気であり、長期の治療計画も必要です。起きた発作を止める治療ではなく発作を起こし難くする治療です。抗アレルギー薬やβ刺激剤、キサンチン製剤を中心に、重症度に応じて治療の濃密度を変えていきます。また、喘息は慢性の気道の炎症という観点から成人では最も炎症を抑える力が強い吸入ステロイド剤の持続使用も行っています。
これ以外にもアレルゲンの除去、自律神経鍛錬、心肺機能の強化など薬物以外の治療も必要です。これらの治療を行うことで喘息はほぼコントロールできます。そして60~70%の患者さんは思春期までに発作が起きなくなります。 このゴールを目指して治療を行うわけですが、もちろん、患者さん、そのご家族、
医師の一致協力が不可欠なのはいうまでもありません。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090313号)


 

Q 昨日、一緒に遊んだ子が水痘だと判りました。どうしたらよいでしょうか。
A まず、簡単に水痘のことを説明します。水痘は水痘-帯状疱疹ウイルスによる感染症で、きわめて感染力が強く、潜伏期間は2~3週間です。虫刺されのような発疹で始まり、頭皮を含む全身に急速に広がります。発疹は水疱、膿疱、かさぶたと変化し、1~2週間で治ります。無熱のことが多いのですが、高熱を伴うこともあります。
 合併症はとびひが最も多く、肺炎や脳炎を起こすこともあります。感染予防に関しては水痘の場合、接触から72時間以内にワクチンを接種すれば発症を抑えられるといわれています。ご質問の状況はまさにこれにあてはまり、すぐ水痘ワクチンを接種されることをおすすめします。ただし、ご家族に水痘の患者さんがでた場合には、いつ感染したかがはっきりしないため「接触から72時間以内にワクチン接種」のルールがあてはまらないので、予防できる確率は低いものになります。
 白血病やネフローゼの治療中で免疫力が著しく低下している場合には絶対に感染を阻止しなければなりません。この時には水痘高力価免疫グロブリンやアシクロビルという抗ウイルス薬も併用します。なお、水痘ワクチンは任意接種ですが、1歳以上であればいつでも接種できますので、小児科医にご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090126号)


 

◎ 小児期のけいれんについて
 急にある症状が出現した場合、お母さん方がうろたえてしまう程の症状というものは小児期にいくつかあるのですが、その中のひとつにひきつけ、あるいはけいれんというものがあります。今回はその中でも頻度の多い熱性けいれんを中心にお話しすることにしましょう。 
 熱性けいれんは、感冒や気管支炎、突発性発疹などに伴う高熱で、熱の原因は脳にはないのにただ熱が出ただけで、それに伴ってひきつけるものを言います。実際の形は大発作様(歯をくいしばり、両目をつりあげ、両側の手足をピクッピクッと震わせる―間代性けいれん)で長い間ひきつけているようでも、数十秒から2、3分、長くとも5分ぐらいのことが多いものです。好発年齢は生後6ヶ月頃から2、3歳くらいまでで、一回熱性けいれんを起こせば、約半数は二度以上くり返します。
 両親や兄弟に熱性けいれんの既往がある場合にはやはり起きやすい傾向もあります。狭義の熱性けいれんの場合は神経学的異常もなく、脳波検査を行っても異常は認められません。本来は、予後良好であり、抗てんかん薬などの継続的な内服の必要もありません。
 以上のような熱性けいれんの特徴をはずれる場合、すなわち、①最初にひきつけた年齢が好発時期を外れる場合,②発熱の程度が低いのに引きつける場合,③片側性のけいれんの場合、④持続時間が長い時、⑤年間に何回も起こす場合などの際は、他の原因に基づくけいれんのこともあるので脳波検査などの精密検査が必要でしょう。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20090116号)


 

Q 溶連菌感染症とは、どんな病気でしょうか?
A 溶連菌感染症は冬の病気で1~2月に流行ります。正式には「A群β溶血性連鎖球菌感染症」といい、典型的なものを昔は「しょうこう熱」と呼んでいました。まず40度前後の急な発熱とのどの痛みで始まります。舌が赤く、舌乳頭(舌のツブツブ)が大きくなり、いちごのように見えます。その後、赤い細かい痒みを伴う発疹が首や脇腹、脇の下などにみられ、ときに全身に広がります。数日たつと発疹は消失し、粉をふいたように皮がむけます。手足の皮膚は膜のようにむけます。これが典型的な症状ですが、最近では典型的な症状は少なくなり、のどの赤さなどから疑われ「溶連菌迅速診断キット」で確認します。診断がつけば抗生物質による治療を行います。3~4日のめば解熱し、症状も改善するのですが、これで終わりではありません。
3~4週間後の忘れたころにリウマチ熱、急性糸球体腎炎、アレルギー性紫斑病などを起こすことがあります。そのために抗生物質を長期(10~14日間)に服用します。できれば家族全員で抗生物質を服用するのが理想的です(兄弟で50%、親で20%感染するといわれています)。抗生物質を3~4日服用し、発熱や発疹が治まって元気があれば登校・登園してもかまいません。発病から1カ月したころに尿の検査をしておくとよいでしょう。また、このころまでは、激しい運動は避けてください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20090109号)


 

Q 最近、保育園で嘔吐、下痢のカゼがはやっています。対応についておしえてください。
A 子どもの下痢の大部分はウイルスや細菌の腸管感染によって起こる急性感染性胃腸炎です。便を介して感染し、2~3日の潜伏期間の後、多くは嘔吐で始まり、次いで腹痛、水様の下痢が起こります。便の色は淡黄色から白色で、やや酸っぱいにおいがします。嘔吐も下痢も水分量が多く回数も多いので、脱水症を起こしやすいのが特徴です。咳、鼻水などの感冒様症状、37~38度の発熱を伴うことも多く見られます。
 さてその対応ですが、一言でいえば、「脱水の予防」です。十分な水分補給と消化のよい食べ物による食事療法が大切です。具体的にミルクは1・5~2倍に薄め、食事はおかゆ、煮込んだうどんなどで、量を少なくし、頻回に与えてください。
 また、乳児用のイオン飲料なども役に立ちます。水分は一日量として「日ごろの水分量+下痢や嘔吐で失われた水分量」を与えるように心がけてください。これだけで自然
に治ってしまうことも多いのですが、下痢や嘔吐を抑えるお薬で、重症化を防ぎ治療期間を短縮できます。また、腐敗臭がしたり、血液、粘膜や膿の混じった便、高熱、強い腹痛などがある場合にはほかの重篤な病気も考えられますので受診が必要です。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081226号)


 

Q 肛門に赤く真ん中に膿のあるものができて、その真上にイボ痔のようなものがあるのですが。
A 肛門のそばの膿のあるものは、肛門周囲膿瘍と思われます。赤いおできで、触ると痛がり、炎症が進むと皮膚が破れて膿が出てきたりします。抗生物質を服用し、また抗生物質の入った軟膏を塗ってバイ菌を殺してあげることです。汚れやすくぬれやすい所なので、いつもきれいにしておくことが大切です。
 次にイボ痔かなというのは、おそらく肛門の真上にできる皮膚のたるみと思われます。ほとんどがイボ痔ではありません。12時の方向にできやすく、硬いウンチが出る時に切れて、切れ痔になりやすく、肛門の一部の盛り上がりが強くなりやすい所です。切れ痔を繰り返さなければだんだん小さくなって気にならなくなるでしょう。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20081212号)


 

Q 「細気管支炎」とはどんな病気でしょうか?
A 細気管支炎は、毎年冬に流行する呼吸器感染症です。主な原因はRSウイルスで、生まれて初めてこのウイルスの感染を受ける2歳以下、特に生後2~6カ月の乳児が多くかかります。細気管支炎はRSウイルス感染により細気管支がむくんだり痰などがつまって狭くなったり塞がったりする病気です。そのため、症状は最初、鼻水や痰からはじまりますが、その後急速に息が苦しくなり(呼吸困難)、息を吐くときにゼーゼーしたり、胸がペコペコしたり、顔色が悪くなったりします。熱はしばしば39℃を超え、4~5日間続きますが、低月齢児では発熱がないか微熱のことも多く、時に呼吸をとめることがあり、注意が必要です。通常数日から1週間でよくなりますが、呼吸困難が強い場合や十分にミルクや離乳食などを摂取できない場合は入院が必要になることもあります。
 また、未熟児で出生した児や新生児期に人工呼吸した児、チアノーゼ型心疾患の児などでは重症化するリスクが高く要注意です。なお、年長時や成人では、普通の風邪の症状でおわるため、これら家族の感染者が乳幼児への感染源となることが多く、RSウイルス流行時に風邪症状のある人は乳幼児との接触を避けるよう心がけてください。また、手指を介して感染することが多いので、頻回に手洗いを励行することも重要です。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081212号)


 

Q 犬が吠えるような咳をし、声もかれてきたので診てもらったらクループといわれました。どんな病気ですか?(2歳男児)
A クループは喉頭炎とも呼ばれ、喉頭に炎症を起こす病気です。原因はウイルスによるものがほとんどで、一部に細菌が関与します。生後3カ月から6~7歳の小児に多く見られ、寒い乾燥した今ごろの季節に多発します。喉頭は両肺につながる唯一の空気の通路ですので、ここに炎症がおきると粘膜が腫れて空気の通路を狭めます。ひどいときには通路が閉鎖し窒息することさえあります。
 このため息を吸うときにヒューヒューやピューピューという音がしたり、犬が吠えるような咳をします。重症になると息苦しさを訴え、顔色も悪くなってきます。起きあがって顎を前方に、頭を後方にそらせ、口を開けてあえぎ呼吸をするようになります。
 のどの下の方や肋骨と肋骨のすきまが呼吸に合わせて膨らんだり、へこんだりする状態(陥没呼吸)になってきます。ここまで悪化したら入院またはその一歩手前と考えてください。実際ここまで悪化することはまれですが、急激に状態が変化することがあるため注意が必要です。家庭では結露ができるくらい十分に加湿し、あまり興奮させないようにしてください。
 咳は残りますが、危険な時期は2~3日で脱しますので、この間は呼吸状態を十分に観察してください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081128号)


 

Q うちの子は言葉が遅い?
A 乳幼児検診の際、お母さん方はいろんな心配事を我々小児科医に相談してきます。
 その中でもしばしば質問があるもののうちの一つとして、「うちの子は言葉が遅いのでは?」という心配事があります。しかし、子どもの言葉の発達が遅いのではとお母さんが心配する時は、他の子どもたちに比較しての場合が多いので、まずは客観的に本当にその子が言葉の発達が遅いのかどうかを知ることが第一に必要になってきます。
 言葉の発達には個人差が大きく、1歳前にかなりの単語が出ている子もいれば、3歳になってもほとんどしゃべらない子もいます。正常と異常の境界を定めるのが難しい場合もしばしばあるのです。
 発語の面についての目安は、2歳で意味のある単語、3歳で2語文が出ていなければ、とりあえず言葉が遅れているといえます。発音の発達も個人差が大きく、サ行、ザ行、ラ行、ジャ行などは4~5歳になっても発音できない子は多いのです。
 言葉の本当に遅れている子の中では難聴がないかどうかをまず確かめることが必要です。難聴児は早期に発見し、必要に応じて補聴器を装用し、早期から教育を開
始することによって言葉と知能の発達を促さなくては手遅れになってしまうからです。
 言葉の本当に遅れている子で、難聴のほかに自閉症や精神発達遅延など、専門医の管理や治療の必要な基礎的な疾患のない子の場合は、家庭内の日常生活での接し方が重要な解決の糸口となります。すなわち、子どもに話しかける機会や量を多くし、できるだけ刺激を多くする、言葉を言った時にはほめてあげる、言葉によるコミュニケーションがきらいにならないようにするなど、言葉の遅れている子どもにとっての心地良い環境を整えてあげることが大切です。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20081121号)


 

◎ インフルエンザの予防接種について
 今年はもうインフルエンザが流行り始めてます。
症状としては、・突然高熱が出る ・38・5度以上のことが多い。 ・身体のあちこちが痛くなる ・頭痛・関節痛・腰痛・背部痛・筋肉痛・同時に倦怠感も増してくる。 ・風邪症状が出てくる ・咳・鼻水・くしゃみ・喉の痛み このような順で症状が現れてくればインフルエンザと考えられます。
 ワクチン接種者や年長児であるほど症状が軽くてすむと、言われています。全経過は一週間で治って行きますが、高熱と全身症状が強いため、体力の消耗も少なくありません。予防接種をお受けになるときは、お子様の体調がいい時をみはからって病院にいらしてください。また、他の予防接種と重なる場合もありますので、小児科の先生に注射を打つ順番をよく相談なさってください。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20081114号)


 

Q 母親がかぜをひいてしまいました。授乳は中止すべきですか。また、かぜ薬は飲んでも平気ですか。
A お母さんがかぜをひいたら授乳の有無に関わらず赤ちゃんはかぜをひく可能性が高いと思います。1対1で密着して1日中世話をしているわけですから、きわめて可能性が高いのです。しかし、この時に母親の胎内では自ら治ろうとウイルスを殺す抗体を産生し、母乳中へも分泌するようになっています。したがって、むしろ授乳していた方が赤ちゃんにも抗体を与えることができ、かぜが治りやすくなるのです。母乳は赤ちゃんのかぜ薬というわけです。
 お母さんのかぜ薬はその百分の一程度が血液中に取り込まれ、その百分の一程度が母乳に出ます。さらに母乳を飲んだ赤ちゃんの血液に移行する濃度はその百分の一程度になります。このようにきわめて低い濃度で、ほとんど影響ありませんので授乳は続けてください。さらに授乳直後に薬を飲むようにすればもっと影響を少なくすることができます。
 ただし、市販薬や漢方薬には成人には問題はないが赤ちゃんには投与したくない薬物を含んでいる可能性がありますので、医師に相談し、処方された薬を飲んでください。また、抗癌剤、抗精神薬などを服用している場合は授乳を中止した方がよいでしょう。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081114号)


 

Q 8カ月の女の子です。最近、風邪をひくとゼーゼーするようになりました。喘息なのかと心配なのですが…。
A 小児の喘息はその原因がアトピーによるものが多いという特徴があり、「ダニ」や「ほこり」などのアレルゲンとなる原因物質にさらされたときに発作を起こしやすいと考えられています。また2歳までに30%が、5歳までに90%が初めての発作をおこすといわれています。ご質問のお子さんは8カ月で「喘息」としてはやや年齢が低く、アトピー型というよりはウイルスなどの感染をきっかけにゼーゼーされているようです。
 以上のことから「喘息様気管支炎」の可能性が高いと思われます。喘息様気管支炎は気管支炎の一種と考えられており、必ずしもアレルギーが関与しているわけではありません。乳幼児は元々気管支が細い上に痰などの分泌物が多く、気管支が狭くなりやすい状態にあります。さらに風邪などのウイルス感染のチャンスが多く、すぐにゼーゼーしやすいのです。しかし、幼児期を過ぎれば、喘息様気管支炎の子どもたちの多くは治ってしまいます。一方ウイルスに対するアレルギー反応でおきるタイプの喘息様気管支炎や乳幼児から発作をおこす「喘息」のお子さんも少なからずいるため、短期間の診察で喘息か喘息様気管支炎かを見極めるのはきわめて難しいのです。アレルギーの検査が必要なときもありますが、むしろ継続して観察し、いつ、どんなときにゼーゼーしやすいのかを知ることが大切です。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081024号)


 

Q インフルエンザと普通の風邪の違いは?
A 普通の風邪は、せきや喉の痛み、くしゃみ、鼻汁等が主で、熱もインフルエンザほど高くありません。インフルエンザでは、38℃から39℃以上の発熱と共に頭痛、筋肉・関節痛等の全身症状が強く見られ、あわせて、鼻汁やのどの痛み等の症状もみられます。さらには気管支炎、肺炎を併発し重篤化することがあるのも特徴です。また近年小児(特に幼児)がインフルエンザにかかると、まれに急性脳症を併発し時には死亡するという問題も指摘されています。そのため風邪だと軽く考えずに、早めに受診しましょう。
 薬は、インフルエンザウイルス治療薬としての抗ウイルス薬が使用できるようになりました。予防接種を受ける事が有効で、重症化の予防としても得策です。日常の生活では、手洗いうがいは励行し栄養をバランスよく摂りましょう。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20081010号)


 

Q 1カ月健診で臍ヘルニアと言われました。女の子なので治るか心配です。
A 赤ちゃんが生まれたとき、へそからゼリー状の管が出ていたのを覚えておられますか?
 この管の中には赤ちゃんの血管と母体の胎盤をつなぐ血管が通っています。つまり、この血管が通れるように赤ちゃんの腹壁には穴があいているのです。
 元々この穴が大きかったり、また、へその緒がとれた後の自然修復が不十分だと生後1~2週ごろから皮膚の下に小腸などの内臓が膨隆し始めます。これが臍ヘルニアで、俗にいう『でべそ』のことです。
 新生児の10~20%にみられ、生後3~4カ月ごろに最大となります。シュウマイやイチジクくらいの大きさになることもありますが、以後、徐々に小さくなっていき、10人のうち8~9人は1歳までに合併症もなく自然治癒します。2~3歳を過ぎても治癒しない場合やしわやたるみを残して治癒した場合にはじめて手術となります。ただ経過を観察するだけでよいのですが、泣いたり、いきんだりしたときに膨隆が目立ったり硬くなったりするため、泣かせないように腐心される方がありますが、病状が悪化することはありませんので心配ありません。
 また、コインや絆創膏などで圧迫している方を時々見かけますが、皮膚のかぶれなどマイナス面も多く、あまりおすすめしません。ただ、とび出しているのでケガに注意し、定期的に小児科で経過をみてもらいましょう。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20081010号)


 

Q インフルエンザの予防接種は受けたほうがよいのでしょうか?
A インフルエンザは風邪に似た症状ですが、伝染力が強く、合併症のため重症になりやすいので風邪とは一線を画して考えたほうがよい病気です。子どもの合併症としては中耳炎、肺炎、熱性けいれんが主なものですが、きわめてまれに、しかし最も重篤な合併症としてインフルエンザ関連脳炎・脳症があり、1~3歳の子どもが他の年齢と比較して多くかかります。また、感染の早い時期から発病し、ときには他の症状がほとんどなく、いきなりけいれんで発病することさえあります。
 この合併症を防ぐには予防接種しかありません。インフルエンザワクチンが感染を予防する効果は70%程度ですが、重症化することを防ぐ効果は高いと考えられています。実際ワクチンを打った人でインフルエンザ関連脳炎・脳症を発病した人はほとんどいません。
 具体的には、流行前にワクチン接種をすませるため、10~11月から接種を始めるとよいでしょう。子どもや抗体価の低い成人は2回接種が必要です。2回目は1回目から1~4週間あけて接種します。発熱、倦怠感などもまれにおこりますが、死亡事故は約2500万接種あたり1件で、比較的安全な予防接種と考えられています。ただし、卵アレルギーの方はアナフィラキシーショックなどの可能性がありますので、主治医によくご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080926号)


 

◎ 増加しつつあるアレルギー性疾患④
 現在まで3回にわたって気管支喘息を中心としたアレルギー性疾患について述べてきましたが、最終回の今回は喘息の治療についてお話しましょう。
 喘息の発症に影響を与える要因としては、感染、大気汚染、たばこその他の家庭内環境因子、寒冷および気圧の変動などの気象条件、不安およびストレスなどの心理的因子などが複雑にからみあっており、多因子的な疾患といえます。従って、喘息のより良い管理とはトータルケアーとしての治療、つまり多面的治療が必要となってくるわけで、具体的にはⅠ原因療法、Ⅱ対症療法、Ⅲ発作予防療法、Ⅳ鍛錬療法、Ⅴ心理療法などが挙げられます。
 第1の原因療法とは文字通り喘息発作の原因となるアレルゲンを除去することで、喘息の場合最も重要なものは室内塵とそのなかのダニが注目されています。この場合、部屋の換気や掃除に努めることが大事です。第2の対症療法とは喘息発作をおさえるための薬物による一般的療法をいいます。これにはネオフィリン製剤、交感神経刺激剤などの気管支拡張剤、副腎皮質ホルモン剤などがありますが、これらは医師による正しい選択が必要です。しかし、喘息の管理には個々の発作に対する対症療法と同時に、慢性に起こる発作をあらかじめ抑える発作予防療法が重要です。各種の抗アレルギー剤と共に、対症療法薬として用いられる各種の薬剤を毎日定期的に続けることにより、発作を予防する試みがなされています。
喘息は、多因子関与性の疾患であり、その他にも精神や身体の鍛錬療法、心理療法など多面的な管理が必要です。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20080919号)


 

Q 熱中症について教えてください。
A 熱中症とは、体温と循環障害がおこり、体のバランスが崩れて異常をきたすもので、炎天下でのスポーツ、肉体労働、締め切った屋内、狭い部屋や体育館の中、また曇りの日にもおこります。熱の放散は、風速や湿度等も影響しますので、炎天の屋外以外ででも熱中症にかかることもあります。重症型は、熱射病といい、体温上昇、循環障害で発汗は停止して、皮膚は乾いて紅潮します。体温は上昇し続け、死亡例もありますので、年少者や高齢者、潜在的に脱水のある方は、特に注意が必要です。予防するには、汗をかいた時は塩分が出てしまっているのでスポーツドリンクや塩分の入った飲み物をしっかり摂取する、なるべく風を送って体温を下げる、また体に熱をためない様にする事などです。
 9月に入りましたが、残暑が厳しい日などの外出には注意が必要だと思われます。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080912号)


 

Q 朝、なかなか起きられず、長時間立っていると気分が悪くなったりします。悪い病気ではないかと心配です。
A ご質問の症状では白血病などの重症の病気を含め色々なことが考えられますので、一度診察を受けられた方が良いと思いますが、一般的な血液検査や診察で異常がなかったと仮定すれば、起立性調節障害が最も考えられます。ご質問の症状の他にたちくらみやめまい、動悸、息切れ、頭痛や腹痛、乗り物酔いなどの症状があるのではないでしょうか。
 起立性調節障害は自律神経失調が主な原因と考えられています。人間は暑いと汗をかいたり、走ると脈が速くなりますが、自分の意思でこれらを行うことはできません。環境の変化に応じて人体はこれらを自動制御しており、その主役が自律神経です。この自律神経の調子が悪くなると必要もないのに脈が速くなったり、暑くもないのに汗をかいたりして通常の生活をおくり難くなります。長い時間立っていると重力の影響で血液は下肢に溜まろうとしますが、自律神経が働いて下半身の血管を収縮させ、それを防ごうとします。この調節がうまくできないと下半身に血液が溜まり、頭に回らなくなって脳貧血状態となり失神してしまうのです。
 失神により外傷を負ったり、朝起きられないことから不登校につながる可能性もあるので、早めに受診されることをお勧めします。生活指導や症状の強いときには薬の服用でかなり改善しますし、成人になると自然に良くなることが多いので過度の心配は不要です。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080822号)


 

Q キャンピロバクダー感染症について教えてください。
A グラム陰性(ラセン状)桿菌が原因菌です。この菌は、元々犬・七面鳥・ヤギ・豚・ニワトリなどの家畜の腸管に生存していて、人の腸管にはほとんどいません。犬・ヤギ・ニワトリ・牛などの家畜の病原菌で動物の下痢症などを起こします。人の場合の症状は下痢・腹痛・発熱。嘔吐などの胃腸炎症状を呈し食品(半生焼き鳥・生卵・モツ・室内動物のフンなどからのが多く、発症までの潜伏期間は2~5日です。感染性腸炎・感染型食中毒)で食中毒として認められています。
 治療は抗生物質に感受性がありますが、ペニシリン系やクエン酸系葉には耐性菌が多いです。便を培養してもらって効く薬を処方してもらってください。
 これからの季節は、他の食中毒も増えてきます。ご家庭でも食中毒予防のため、気をつけて料理してあげてください。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080808号)


 

Q ヘルパンギーナについて教えてください②
A 前回、手足口病のお話がが途中で途切れてしまいました。手足口病はエンテロウイルスのコクサッキーA16ウイルスとエンテロウイルス71がおもな原因ウイルスです。手足口に特徴的な皮疹、粘膜疹が出現します。手のひら、足の裏に米粒大の水泡が、手足の甲、膝、お尻などに丘疹という小さなふくらみが多数出現します。口の中は、口内炎のため、ヘルパンギーナと同様に痛みが強いので水分がとれず、脱水が問題となります。1~3歳の乳幼児がおもに発症し、保育園などで流行することがありますが、学童、成人もかかります。潜伏期間は2~7日とされています。発熱は軽い場合が多く、年長児では発熱を伴わないこともあります。特別な治療法はなく対症療法となります。
 さて、もうひとつの夏かぜはプール熱です。プール熱はアデノウイルス2、3、4、7型の感染によって起こります。別名は咽頭結膜熱で、文字通り咽喉と結膜(白目)の炎症をおこし、高熱をだします。頭痛、リンパ節腫脹を伴うこともあります。発熱は4日前後続き、のどと目の症状は一週間前後で改善します。吐いたり、下痢をしたりすることもあります。他の夏かぜと同様に特別な治療はなく、症状に応じた治療です。周りの情報に注意し、感染を広げないようにしましょう。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080808号)


 

Q ヘルパンギーナについて教えてください①
A ここではヘルパンギーナだけでなく3つの夏かぜについてお話します。
 ヘルパンギーナは1~4歳の乳幼児に多く、2~4日の潜伏期間の後、突然の発熱とのどの痛みで始まります。熱は高いことが多く、2~5日間続きます。嘔吐、腹痛、下痢を伴うこともあります。特徴的なのは、のどの奥に小さな水疱ができて、少したつとつぶれて口内炎になることです。このため痛みが強く、飲食物を摂取できなくなるため脱水になるおそれがあります。痛みが強いのは1~3日なので、口内炎にしみないものを少量ずつ摂取させ、脱水に気をつけていれば1週間以内には口内炎も完治します。コクサッキーA群ウイルスなどのエンテロウイルスの感染が原因のため特別な治療法はありません。エンテロウイルスは腸管ウイルスとも呼ばれ、糞口感染(糞が口へ)や飛沫感染(唾液や鼻汁が飛んでうつる)でうつります。
 手足口病もエンテロウイルスのコクサッキーA16ウイルスとエンテロウイルス71がおもな原因ウイルスです。手のひら、足の裏に米粒大の水疱が、手足の甲、膝、お尻などに丘疹という小さなふくらみが多数出現します。口の中は、舌、上あご、 ほっぺたの内側、歯肉などに水疱ができます。やはり痛みが強いので、脱水が問題となります。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080725号)


 

◎ 増加しつつあるアレルギー性疾患③
 前回まで計2回にわたって喘息や花粉症などアレルギー性疾患が最近増加傾向にあること、また喘息の成因や症状についてお話しをすすめてきましたが、今回は喘息のメカニズムと診断法について述べることにしましょう。喘息の本質的な病態というのは、気管支にある平滑筋の収縮と血管の透過性の亢進と分泌腺からの粘液の分泌の亢進です。その結果、気管支の収縮が起こり、粘膜の浮腫と粘液栓ができます。これらの出来事が気道の狭窄につながって肺の換気障害を起こし、呼吸困難が起こるのです。
 このような病態が起こる成因には前回述べたように特異的刺激すなわちアレルギー性によるものと非特異的刺激によるものがありますが、小児喘息の場合、前者のアレルギー性によるものが特徴的です。この場合、患者の血液中にはIgEと呼ばれる抗体が健康な人に比べて多量に存在し、これらの抗体がマスト細胞という細胞にくっついています。患者が家ダニ抗原などを吸い込んだりして抗原が体内に入ってくると、この細胞の上でいわゆる抗原抗体反応が起き、それが刺激となってマスト細胞内にある顆粒が血液中に飛び出します。この顆粒の中にはヒスタミン、プロスタグランディンおよびロイコトルエンなどいわゆるケミカルメディエーターが存在し、気管支の収縮や気道粘膜の浮腫、粘液分泌の亢進など喘息の一連の症状が引き起こされるわけです。喘息の診断法に様々な検査がありますが、現在では血液検査でこのIgE抗体の量を測定することが可能であり、最も一般的に行なわれています。 次回は最終回となりますが、アレルギー性疾患の治療法に関して述べることとし、このシリーズのしめくくりとさせていただきましょう。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20080718号)


 

Q ヘルパンギーナについて教えてください。
A 乳幼児から小児に流行する夏風邪の一種で真夏にはやり10月には終息します。飛沫による経気道感染で、かなり伝染力があり粘膜に小さな水疱や口内炎ができる病気です。病変の数(水疱や口内炎)は平均5個、多いものは14個以上にもなります。典型的な症状は、突然の発熱38~40℃で始まり潜伏期間は3~5日です。年長児では、背筋痛や頭痛、寒気を発熱前に訴えることあります。その後食欲減退、咽頭痛、よだれ、吐き気、嘔吐をみることがあります。病原菌はウイルスでコクサッキーA・B、エコーウイルス等です。治療は、熱や痛みをおさえる薬やトローチなどの対症療法です。食べ物はかまずに飲み込めるものを与え、水分は十分取らせるようにしてください。よくなる人は、2~4日で治ります。ただし、原因ウイルスは何種類も考えられており、何度も発症する事があるようです。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080711号)


 

Q あせもについて教えてください。
A あせもを知らない人はいないと思いますが、実はよく知っている人はあまりいません。民間療法も多く、諸説入り乱れているのだと思います。あせもは医学用語では汗疹
といい汗貯留症候群の総称です。汗が皮膚の下に貯留しておこる病気ということです。
 汗をいっぱいかいたあと、放っておくと皮膚の表面で汗が乾燥し、ほこりや垢などが固まって汗の出口を塞ぎます。そうすると、皮膚の中に汗が貯まってまわりにしみ出して炎症をおこします。これがあせもです。多くの場合、痒みを伴うために掻いて湿疹化し、汗疹性湿疹となり、ぐじゅぐじゅしてきます。さらに細菌感染が加わると多発性汗腺膿傷(あせものより)や伝染性膿痂疹(とびひ)といわれる状態になります。
 汗を作る汗腺の数は成人も子どもも同じといわれています。乳児の体表面積は成人の1/8程度ですから乳児の皮膚の単位面積あたりの汗腺の数は成人の8倍あることになります。また、水の代謝も盛んですから非常に多く汗をかきます。
 予防、治療は汗をかいたままにしない。頻繁に洗い流すか、優しく拭き取ること。清潔にすること、風通しをよくし、涼しくすることです。汗を吸収しやすい木綿の服を着せ、汗を吸収させてこまめに着替えさせます。クーラーを使って大汗をかかせないのも一つの方法です。これだけで、初期のあせもは治ってしまいます。湿疹化し、ぐじゅぐじゅしてきたら薬の治療が必要です。ご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080711号)


 

Q 3歳の娘ですが、たまに鼻血をだします。夜中、急にでたことも3度ほどあり、血でシーツが染まってしまいます。一度受診した方がいいでしょうか。
A 朝起きたら白いシーツに真っ赤な血が点々と付いていた。2~3日後にもまた。もしかしたら白血病ではと心配され、受診されるお母さんが多数いらっしゃいます。
 白血病などの重篤な病気を想像されるのでしょうが、これらの病気では熱が続く、歯茎から出血する、極端に顔色が悪い、ぶつけてもいないのにあちこちにあざができるなどの症状を伴っています。これらの症状がなければ、まず心配ありません。子どもの鼻血のほとんどは鼻ほじりなどで鼻の粘膜を傷つけておこります。一度出血するとかさぶたができて止血しますが、とれるとまた出血するため、1週間に2~3回と続けて鼻血が出ることも多いのです。
 さて、実際に鼻血がでたら壁などに寄りかかるように座らせ、血液がのどの奥に流れ込まないように顔をやや下に向かせます。脱脂綿を丸めて鼻に詰め、親指と人差し指で詰め物ごと小鼻をつまみ、出血している部位を圧迫します。アイスノン等で鼻を冷やすと毛細血管が収縮して鼻血が止まりやすくなります。首の後ろを叩いたり、仰向けに寝かせてはいけません。また、途中で様子をみると固まりかけていた血の固まりがとれて再出血するので10~20分はそのままにしてください。
 以上、簡単な説明ですが、安心していただけたでしょうか。心配なときはいつでもご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080627号)


 

◎ 「乳幼児予防接種」の間隔
 どの順番で受けたら良いか図にしました。お子さんの体調をよく観察したうえで、かかりつけの病院で接種を受けましょう。不安な点は小児科医に相談してください。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080613号)



 

Q 首にぐりぐりがあるのに気付きました。元気で痛がりませんが心配です。
A 首や後頭部にぐりぐりするものがあるのに気付き、悪性の病気を心配して来院されるお母さんの数は、実はかなり多いのです。まれに良性の腫瘍が見つかることもありますが、生理的な(病気ではないという意味)リンパ節に気付いただけという診断になることがほとんどです。リンパ節は全身に何百個もあり、首、顎の下、後頭部、脇の下、股の付け根などでは皮膚表面に近いところにあるため皮膚の外から触ってもよくわかります。リンパ節は人間の免疫機構の一部として働いており、細菌やウイルスが侵入してきた際に一番近い場所のリンパ節でリンパ球や白血球が細菌やウイルスと戦います。戦っている真最中には熱や痛みを伴うことがありますが、多くの場合、リンパ球や白血球が勝ち、病気は治まります。
 この戦いを繰り返していると徐々にリンパ節自体が大きくなってきます。子どもはかぜや扁桃腺炎などにかかる頻度が成人に比べかなり多いためリンパ節での戦いが多く、日ごろからリンパ節が大きめになっています。熱や痛みがなく、ただ大きめなのは過去の戦歴を表していると考えていいでしょう。もちろん悪性リンパ腫や白血病などによるリンパ節の腫れの可能性はゼロではありません。10㎜以上で、ごつごつした感じがあり、どこかに付着したように動きの悪い場合や他の症状があるときは注意が必
要です。気になったら小児科医にご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080613号)


 

Q 1歳2カ月の女児。先日41℃の高熱をだしました。カゼと診断されましたが、また高熱をだすのでは? 何か障害がのこるのでは? と心配です。
A 病気のときに熱がでることは必ずしも悪いことではありません。また、熱が高いほど病気が重症というわけでもありません。子どもが熱をだす原因の多くはかぜなどの感染症です。ウイルスが人体に感染すると白血球などが内因性発熱物質を放出し、これが脳の体温調節中枢に働きかけて体温をあげるのです。体温があがることによりウイルスの増殖を抑制、白血球の食菌作用の増強、抗体産性の亢進などをもたらし、ウイルス感染を治癒にむかわせるのです。つまり生体の防御反応として熱がでているのです。
 では発熱の悪い面とはどんなことでしょうか。まず、体力を消耗し、体から水分が多く失われます。また、熱性けいれんを起こすことがあります。発熱による害が利益をうわまわるときにのみ解熱剤で体温を下げてやればよいと思います。具体的には39℃以上になったら解熱剤を使用し、38℃台までさげ、平熱まで下げすぎないのが良いと思います。日射病や熱射病のように体温調節が狂った状態でなければ、熱で脳が障害を受けるような高体温にはなりません。また熱性けいれんは体質であり、熱が高いほどけいれんを起こしやすいわけでもありません。心配なのは高さではなく長さです。熱の期間が長いということは病気がそれだけ長く続いていることを意味するからです。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080523号)


 

◎ 増加しつつあるアレルギー性疾患②
 前回は、この欄で喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患が近年増えていることをお話しましたが、今回はそのひとつである小児喘息(小児気管支喘息)についてお話をすすめてゆきたいと思います。小児喘息の場合、その成因には大きく分けて2つの因子があり、特異的刺激と非特異的刺激があります。
 特異的刺激というのは喘息を引き起こす特異的抗原のことで、これには家ダニ、ハウスダスト、室内カビ、草木の花粉などで、喘息患者がこれらの抗原を吸い込むと喘息が起こるのです。喘息の人がどの抗原に過敏性があるかは人それぞれですが、頻度的には家ダニ、ハウスダストなどのいわゆる室内抗原が圧倒的に多いものです。非特異的刺激には感冒などの感染、気温および気圧の変化、ストレスなどがあり、これらの因子によっても喘息が引き起こされます。
 症状としては、これらの刺激により咳込む、ゼイゼイする、などの呼吸器症状が出現するわけですが、症状が重篤な場合は喘息発作といって、気道の狭窄や気道の分泌亢進のため呼気時間に比べて呼吸時間が長くなる、呼吸数が早くなるなどの症状が加わります。一般的には子どもさん達がカゼをひくと夜ゼイゼイするとか呼吸が速くなるという症状でお母さん方が気付くといったケースが多く見受けられます。

(まえだ小児科・前田正人院長/行徳新聞20080516号)


 

◎ 揺さぶられっ子症候群(シェイクン・ベイビーシンドローム)
 乳幼児が激しく揺さぶられることにより、脳に傷が付き時に死に至ることがある病気です。乳幼児は首の筋肉が弱いので脳と頭蓋骨の隙間も大きくそのために強く揺らされると頭蓋骨の中で脳が動き、血管が傷つき頭蓋内出血や眼底出血等を起こすことがあります。視力低下や脳障害の原因となり、最悪の場合は死に至ります。主な症状は嘔吐やケイレン、呼吸困難や昏睡等です。最近は核家族化が進み乳幼児との接し方やあやし方がわからない若い親も多く、虐待によってこの病気になる乳幼児も増えています。
 この病気の防止のためには、首のすわらない3カ月まではそっと扱うこと、子どもの表情を見ながら、ほどほどにムリをしないことです。正しい知識と目配りが、賢い親の道と思われます。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080509号)


 

Q 離乳について教えてください。
A 離乳とは「母乳やミルクなどの乳汁栄養から幼児食に移行する過程のこと」で、栄養学的な面と、幼児の食生活にそなえて咀嚼と固形物を嚥下する練習という発育の面があります。 生後3~4カ月に離乳の準備として果汁やスープをスプーンを使って与えます。目的は乳汁以外の味やスプーンに慣れるためです。
 さあ、5カ月ごろから離乳開始です。どろどろした食物を与えますが、開始の目安は固形物を押し出す反射(舌提出反射)がなくなったころです。最初の1カ月は栄養よりも飲み込む練習が主体ですので、あせらず少しずつ毎日与えましょう。
 6~7カ月になったら2回食です。この頃には栄養の3分の1は離乳食から摂取するので栄養のバランスを考えるようにしてください。この時期までは離乳食のあとに欲しがるだけミルクを与えてもかまいません。
 9カ月ごろからは3回食とします。栄養の主体が離乳食になりますので、より栄養のバランスが大事になってきます。
 10カ月を過ぎたらできるだけ親の食事と同時に与え、ミルクは食後に与えず別に1~2回飲ませるようにします。
 12~15カ月になったら離乳の完了です。栄養は食事から、ミルクや母乳は不足しやすいミネラルの摂取や精神安定剤としての役割となります。ただし、ここでお話したことはあくまで目安です。途中で心配になったらいつでも小児科専門医にご相談ください。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080425号)


 

Q アトピー性皮膚炎について教えてください。
A アトピー性皮膚炎は免疫アレルギー機序で生じる痒みの強い慢性の湿疹と理解されています。それならば、アレルギーの元となる物質(アレルゲン)を除去すれば起こらなくなりそうですが、そうではありません。アトピー性皮膚炎のお子さんの皮膚は調子の良いときでも全体に乾燥し、刺激を受けやすい状態になっています。そのため湿疹ができやすく、アレルゲンに接触した場合にはさらに強く反応し、強い痒みを伴った湿疹ができます。痒みのためにかきむしり悪化させるという悪循環を繰り返し、慢性化していきます。さて、アトピー性皮膚炎と診断されたらどうしたらよいのでしょうか?
 アレルギー体質を変えることはできませんが、アレルギーの出やすさを抑えることはできます。明らかなアレルゲンがあれば除去することもでき、種々の因子から皮膚を守ることはできます。具体的には皮膚を清潔に保ち、保湿剤を用いて保湿し、痒いときには痒み止めを使用する。悪化したときには非ステロイド剤またはステロイド剤を使って炎症をおさえる。症状に応じて抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を内服する。症状を悪化させたことのあるアレルゲンは除去する。などを行います。
 アトピー性皮膚炎は長い期間治療を必要としますので、医師と患者さんの信頼関係を築くことが一番大事なことかもしれません。

(いわはらキッズクリニック・岩原正純院長/行徳新聞20080425号)


 

◎ 麻疹について
 麻疹について、前回の続きをお話します。
 予防接種の普及により、麻疹患者は大幅に減少していましたが、数年おきに各地で小流行が繰り返されております。以前では2~3歳の小児に多く見られていましたが、近年では高年齢の麻疹、予防接種を受けた小児の麻疹が注目されています。
 前回お話したように、潜伏期間は10~12日で、感染源となる期間は、発症1~2日前から発症出現後2~3日です。
 合併症は、中耳炎や肺炎や脳炎などがあります。
 隔離解除は、発疹出現から三日以降、完全に解熱し、一般状態の好転を待って行います。
 近年、麻疹ワクチン接種の普及により、臨床症状も軽くコプリック斑のみられない症状があるので麻疹流行時には注意が必要です。
 麻疹・風疹混合ワクチン接種は予約なしで受け付けています。体調の良い時にいらしてください。

(新浦安こどもクリニック・内藤茂樹院長/浦安新聞20080411号)

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